序章

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「学生が意気がんなよッ…」 皮肉の言葉を言う男は口端から 滴れる血を袖で力強く拭った。 彼女はそんな男にわざとらしく 溜め息を吐いて両腕を振った。 「頭が馬鹿だと言葉も馬鹿ね」 呆れたように微笑む彼女を見た 男は額に青筋を数本浮かべる。 彼女は再度深い溜め息を吐くと 男に戦闘開始の合図を送った。 前に垂れる黒髪を背中に回して 飛び出す為に前傾姿勢になる。 そして男が戦闘態勢を取る前に 一気に間合を詰めて足を払う。 引っ掛かった足は身体を流して 無様に地面に突っ伏する形に。 「命を弄んだ結果よ、恥を知れ」 最後の仕上げとして男の右手を 思い切り踏み付けて強く捻る。 悲鳴が上がるが無視して力強く 脇腹を蹴り上げて壁に当てる。 「雑魚は其処がお似合いよ」 今度こそ彼等に別れを告げると 猫の遺体を抱えて立ち去った。 残された若者達の表情は歪んで 醜くなってる事に気付かずに。
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