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噴水に反射して輝く太陽の光に
手を翳しながら木陰で止まる。
柔らかい土の部分を手で掘って
優しく遺体を寝かせて埋めた。
良い埋葬場所が見付からなくて
結局、公園の端に埋めた彼女。
雑草ではあるが白い花を手向け
静かに目を閉じて合掌をした。
「……誰かのお墓ですか?」
優しい声音で尋ねられた彼女は
声元が何処かと周囲を見渡す。
そして背後からだと気が付くと
振り返って言葉に答えようと。
「ッ、どうして……」
した筈が背後に居たのは彼女が
前々から執着されていた男で。
薄気味悪い笑顔を浮かべる男に
心の内が恐怖で渦巻いていく。
数歩ずつ後退る彼女に男は笑い
目尻に溜めた涙を拭って言う。
「君のお名前は?僕は吉高です」
突然、自己紹介を始めた吉高に
首を傾げて戦闘態勢を構える。
吉高はそんな彼女を見て服から
煙草を取り出して吸い始めた。
「話の途中で煙草吸うのね」
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