序章

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先程までの吉高に対する恐怖が 今は腕をもいだ目の前の彼に。 凪夜は恐怖のあまり腰が抜けて 地面にへたりと座ってしまう。 一方、目の前の彼は凪夜を見て 目を輝かせると手を差し出す。 彼の出した手の意味が分からず 凪夜は徐々に後退っていった。 「……怖がるな。俺はお前の、」 彼が言葉の続きを言おうとした その瞬間、彼の身体は消えて。 あまりに突然の事で状況把握が 出来ない凪夜は周囲を見渡す。 すると自分の足元に転がる彼を 見付けて近付こうとした筈が。 「貴女の居場所は此方ですよ」 何時の間にか起きていた吉高に 彼に伸ばした右腕を掴まれた。 強引に上へと持ち上げられるが 腰が抜けてる凪夜には辛くて。 その事に気付いた吉高は大きな 溜め息を吐くと細腰を掴んだ。 それに驚いた凪夜は抵抗するが 吉高はそれを無視して抱える。 「強制手段は取りたくな、」 小さく吉高が文句を言った瞬間 違う腕の中に凪夜は移動した。
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