序章

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先程まで消えていた筈の右腕が 元に戻り、微笑む吉高が居た。 恐怖で震える凪夜の身体は既に 弛緩していて動けそうにない。 「凪夜様、行きましょう」 無理矢理に手を持ち上げられて 身体が痛みに悲鳴を上げた時。 突然、周囲を覆う程の青い光に 二人は力強く瞼を閉じていて。 凪夜が瞼を開いた時には吉高は 地面に倒れて血を流していた。 其処から目の前に立つ彼に目を 向けると彼は優しく微笑んだ。 「凪夜、大丈夫か?」 大量に血を流してる人に言われ 可笑しくて凪夜はつい笑った。 すると大人びていた彼の印象が 覆る程の幼い拗ねた顔を見て。 目が点になってしまった凪夜は 唖然として目の前の彼を見る。 「…―凪夜、此処は危険だ」 低い声で呟く彼の言葉に凪夜は 飛ばしていた意識を取り戻す。 「貴方達は一体……?」 吉高に目をやりながら尋ねれば 彼は瞼を閉じて再度、開いた。
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