空想の友達

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さえこは、いつしか私を持て余すようになり、 ミズと散歩に出ることも、 はじめちゃんと遊ぶ回数も 減っていきました。 おそらく、私はさえこの年齢を越えたのでしょう。 小学校の中学年になる頃には、 私の空想に登場する人数はかなり増え、 主となるキャラクターは常にいたものの、 やがては消えて他の人に変わっていきました。 私はふわふわとした日常を 生きていたと思います。 現実を生きながら、ふと目を伏せると もう自分の世界に入ってしまう。 木や、家具や、 目につくものは何でも、 空想に取り込まれていきました。 これを感受性と呼べていたのは、 まだ幼いことのなせる 大きな幸せだったに違いありません。
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