自己紹介

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意味がわかっていて質問していたのではなかったと思います。 ただ私は、桃源郷を夢想していたのです。 そして、『苦』というもののない世の中、人生は、 実現出来るはずで、 ただ実現しない世界全てに、 無邪気で愚かな疑問いっぱいの目を向けていたのです。 どうして どうして 事故や病気を免れているのに、 どうして苦しみや憎しみや切なさを、 みんな無くそうとしないの? 傷つけたり傷ついたりしないで、平和で穏やかに生きようとしないの? 何の苦労もない子供に 毎日のように、 そう尋ねられ まとわりつかれて、 母はしばしば顔を歪めて叱責しました。 「子供のくせに何を言ってるのよ。苦しみだ悲しみだなんて、知りもしないくせに」 そして、こうした母の返答に、 私は口ごもり、 訊いてはいけないことなのだと焦って逃げ出しては、 益々不安になるのでした。
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