7人が本棚に入れています
本棚に追加
私には、私にしか見えない特別な友達が大勢いました。
幼児もいれば、幾つかお姉さんも、
人ではない(こちらは喋らないのですが意思がわかるという代物でした)背の低い毛もじゃの二足歩行の者たちや、
夜気が向いた時だけ、
箱を抜け出してくる日本人形までいました。
ちなみに人形は、私を友達と言い、小さな陶器の手で、
ギュッと服を握られたりするのですが、
私はこの人形が少し怖かったので仲良しにはなれませんでした(笑))
皆が口を揃えて言うのは、
「私たちのことは、他の人には見えないし、あなたしか話せないの。だから他の人に話してもわからないし、会話をしてるところを知られちゃ駄目よ」
それでも何度も見つかりましたし、
両親は心配したり苛立ったりしていたように思います。
一番長く友達だったのは、
『はじめちゃん』という人形と、
『さえこ』という歳上の女の子、
そして、『ミズ』という、口の利けない幼児(これは実体はなくて、いつも姿を変えながら近くにいました)の三人です。
ミズは自分では移動が出来ないので、
ボールペンや巾着や
ぬいぐるみになったりして、
私の頭の中に話しかけてきて、
私はミズを小さな内緒の弟として可愛がっていました。
ミズが風船になって、
林に散歩に行きたいと言えば、
私は風船のミズを抱いて雑木林に入り、
松ぼっくりを拾って飯事をしたり、
ミズに草花の名前を教えてやったりしていました。
ミズは内気で、誰かの気配がすると、
暫くは死んだように消えてしまい、
数日後また戻るというようなことを
繰り返していました。
最初のコメントを投稿しよう!