空想の友達

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私には、私にしか見えない特別な友達が大勢いました。 幼児もいれば、幾つかお姉さんも、 人ではない(こちらは喋らないのですが意思がわかるという代物でした)背の低い毛もじゃの二足歩行の者たちや、 夜気が向いた時だけ、 箱を抜け出してくる日本人形までいました。 ちなみに人形は、私を友達と言い、小さな陶器の手で、 ギュッと服を握られたりするのですが、 私はこの人形が少し怖かったので仲良しにはなれませんでした(笑)) 皆が口を揃えて言うのは、 「私たちのことは、他の人には見えないし、あなたしか話せないの。だから他の人に話してもわからないし、会話をしてるところを知られちゃ駄目よ」 それでも何度も見つかりましたし、 両親は心配したり苛立ったりしていたように思います。 一番長く友達だったのは、 『はじめちゃん』という人形と、 『さえこ』という歳上の女の子、 そして、『ミズ』という、口の利けない幼児(これは実体はなくて、いつも姿を変えながら近くにいました)の三人です。 ミズは自分では移動が出来ないので、 ボールペンや巾着や ぬいぐるみになったりして、 私の頭の中に話しかけてきて、 私はミズを小さな内緒の弟として可愛がっていました。 ミズが風船になって、 林に散歩に行きたいと言えば、 私は風船のミズを抱いて雑木林に入り、 松ぼっくりを拾って飯事をしたり、 ミズに草花の名前を教えてやったりしていました。 ミズは内気で、誰かの気配がすると、 暫くは死んだように消えてしまい、 数日後また戻るというようなことを 繰り返していました。
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