相談のお時間です

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「積み重ねだ、俺様の場合はな」 「つみかさね?」 一目惚れなんて強烈な出会いじゃない。救ってくれたからとかドラマチックな過去もない。否定はしない、でも俺には自分がそんな恋愛をするなんて思えない 知り合って、相手を知って、始まるものではないかと。ただ、人にはそれぞれペースがあるから、側から見たら転げ落ちるような恋もあるだろう 「一緒にいるのが楽しい」 「気に食わないところもある」 「居てほしい時に傍にいた」 「苦しそうなら何かしたいと思った」 「笑顔を見た時に、自然と嬉しくなって笑顔になる」 「そうやって積み重ねて、ある日、ふと胸が高鳴って、好きだなと思うんだ」 小さい頃の隣の席だった女の子への初恋ぐらいしかしらない俺が語るには、あまりにもお笑い種な恋愛観だが、漠然とこうじゃないかと思えた 「……かいちょー、オレ、さっきも熱烈だと思ってたけど、今の方が熱烈だね」 「何がだ」 「無自覚なの!?あんな顔してたのにー」 困ったように俺を見る会計、自分の顔なんて鏡とかがないと分からないんだから確認しようもない。あんな顔ってなんだよ 「で、参考になったかよ」 「うん、オレが好きかどうか分かるには勇馬との時間がもっと必要なのかなって思った。ありがとー、会長。オレ今から勇馬に会ってくる!ばいばーい!」 返事をする間も無く、嵐のように生徒会室から去っていった。行動力がありすぎる そもそも、俺に相談して、過ごす時間が必要だと思ったら即会いに行く、その時点で好きでは?と疑問が出てきたが、自ら悟るのが得策だろう 「……はぁ、疲れたな」 勉強は想定の半分しか進んでない。これなら部屋でした方が進んだ。竜胆にも居れば教えてもらえたし。でもな…… 帰ろう
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