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「…よろしくお願いします」
雰囲気どおり小さな声だった。それとも、初めてだから緊張してるのかな。
「私がシフトリーダーだから、スケジュールのことで何かあったら言ってね、崇くん」
「はい」
「んじゃ荒井君、引き続きタマネギの皮むいといて」
あっくんが言うと、崇くんは厨房の奥へ戻っていった。
「あっ、神代さん、就職決まったの聞きましたよ。おめでとうございます」
「ありがとう」
内定をもらって、私は春から市内の商社で働くことになった。この不景気に我ながらよくやったと思うよ。
「でも、ここ2月いっぱいなんすよね?神代さんに抜けられるの痛いってみんな言ってますよー。なんでここの社員にならなかったんすか?」
「うん、誘ってくれた店長には悪いんだけど、父さんのことがあるからできるだけ近いところにしたかったんだ」
「あ…」
あっくんの顔が曇る。
「あはは。いいって、私も気にしてないからさ。じゃ、今日もよろしくね」
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