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ゆっこがおしぼりで手を拭きながら言ってくる。
「うん。今月いっぱいまではね。二人は何かの帰り?」
「そう。野球観てきたんだ」
「うちは代打やけどな~」
ほたるちゃんがやれやれと首を振る。
「代打?」
私が聞くとほたるちゃんが身を乗りだしてきた。
「昨日チケットがあるってゆっこが誘ってきてな、聞いたらうちのめっちゃ好きな選手がおるチームの試合やん!それしいなあー思ったら『ヒデくんが用事でいけなくなっちゃって…』やて~」
「あー、そりゃあ…」
ヒデくんっていうのは、前の生徒会長だ。ゆっこがマネージャーをやってた野球部のために派手なことをやった。野球部は甲子園の二回戦まで勝ち進んで、学校は夏休みも大騒ぎだったらしいけど……私はひたすらバイトやってたな。
「はぁ~、女の友情は儚いなぁ……」
「ごめん、ごめんねほたる。……ね?」
べたーっとテーブルにのびたほたるちゃんを、ゆっこが懸命になだめている。
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