プロローグ

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それはすごくかなしいから、私はわんわん泣いた。 父さんが泣かなかったのは、男の人だからなんだろう。 母さんはもういない。 「…ねぇ、父さん」 だから、私は決めたんだー。 「みいる、もっとお料理上手になるね」 「そうか。父さん応援するぞ」 「うん。おそうじも、せんたくも、なんでもできるようになる」 『父さんはほとんどだらしないんだから』 かあさんはいつも笑いながら言ってた。 だからー。 「母さんのかわりに、みいるが父さんの面倒をみてあげる!」 春の風さんみたいに、父さんが笑った。 それから、熱を計るように私のおでこに手のひらをあてて、髪をさかさになでてくれる。 気持ちよくて私は目を閉じる。
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