Act:Ⅰ 日常

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そして時間が経ち時計の針が朝6時を指す、何もする事が無いため退屈なのか、青年はふと何かを思い立ち自室を出る。 高級そうな赤いカーペットの敷いてある灯りの照らす廊下を歩き一度曲がった場所の突き当たりにある階段を下る。 手すりや壁は文句のつけ様が無いほどに掃除され、灯りに照らされ輝いている・・・。 そして足元に敷かれている赤いカーペットは一点の汚れやしわも無く道なりにそって綺麗にしかれている。 そして階段を下り少し歩くと豪華な装飾品によって盛大に飾られた玄関ロビーが現れる・・・。 高い天井に吊るされたシャンデリアは誰が見てもすぐに高価な物だと分かるほど豪勢かつ綺麗な物で、他の物と同じく一店の曇りや傷も無く美しく輝き、ダンスパーティーが出来るほどの大きさがある玄関ロビーを照らしている。 言わずともがなこの建物は、広大な絵に書いたようなお屋敷である。 青年が立っているのは来た道から玄関ロビーに降りる事の出来る二つの階段の内の一つである右側の階段である。 青年は階段から下り玄関からでて庭へと歩く。 庭にはさまざまな草木が植えられているが一番美しいといえるのは玄関前に噴水と共に咲き誇る色とりどりの薔薇庭園である、そこにはお茶会を開くスペースがあり、 玄関前には車のロータリーがある。 この薔薇庭園も腕の良い庭師が受け持っており毎日美しい姿を保っている。 だが、彼が向かったのは薔薇庭園ではなく、鳥達が鳴き、小動物達の戯れる木々が生い茂った林であった。 彼は時間を持て余すと頻繁にここに来ては小動物と共に戯れ時間を潰すのである。 そして、これはもはや彼の日課と化していた・・・。 しばらく小動物と戯れ時間を潰した後、青年は小動物たちと別れ屋敷に戻る。             イサキ そして一息つき「さて、勇気主人を起こさなくちゃね。」と呟くと先程下った階段を駆け上がり、右側の通路の方に走る。 先程勇気と呼ばれたのはこの青年の主人で少し性格に難のあるこの屋敷の御曹司。 そしてこの青年はその勇気という御曹司を主人とする専属召使である・・・。 そしてその主人の部屋につくなり部屋のドアを3回ノックし「勇気主人、朝ですよ~」と声をかける。 「・・・・・・。」 返事はなく、シーンと静まり返る。 青年は苦笑をするとドアを開けた・・・。 時計はもう7時を少し過ぎていた・・・。
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