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暗闇の中、奴はベッドに横たわる。ここは自室。
本来なら眠っているのだが、ここ最近はそうもいかない。毎晩毎晩電話がかかってきて、たとえマナーモードにしようとも、電話は続く。その日は眠れたとしても、翌日かかってきていた電話の件数を見て、恐怖とストレスで頭がおかしくなりそうなのだ。
番号を変えたとしても、数日後にはどこからか番号を入手して連日誰かが電話をかけてくる。誰がかけてきているのは、分からない。何度もかかる電話に苛立ち、それに出て文句を言ったが、向こうは何も言わずに切ってしまった。だからかけてくる者が男なのか女なのかすら分かっていなかった。今も携帯の点滅する光を眺めている。
カーテンが光を遮って作り出していた闇が、空が白んでくると同時に、朝を知らせ、徐々に差し込む光の量が増し、もう横たわっていることは出来ないと悟った。奴は既に疲れ切っていた。ベッドに横たわってはいるが、頭痛はするし、体は重い。全くと言っていいほど疲れが取れていない。
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