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車に乗っていても、会社に入る瞬間でも。周りに不審な人間はいない。普通の人しかいないのに感じる視線。誰もが敵に見えて、もしかしたらあのサラリーマンがそうなのだろうか、と何でもない人疑うほど追いつめられていた。 そんな状況にあっても。母に言われていた「仕事は休むな」という言葉を何とか守ろうとして、毎日仕事には出ていた。不器用な自分の唯一の取柄の丈夫な部分を大事にしたいと思っていた。 「休んだ方がいいんじゃないの?顔色悪いし」 「ああ、うん・・・いや、仕事たまってるから」 母としても、息子の異常が気になっていたようだ。だが、ここの所眠れていないこともあって仕事の進捗が遅れていた。遅れを取り戻すためにも休むわけにはいかなかった。 休めばよかったのかもしれない。今になればそう思う。
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