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奴はきかないと分かっていても、ブレーキを踏みながら突進するしかなすすべはなく、向こうもハンドルは切ったが、車の側面がぶつかる形で停車した。煙が上がり、朝の渋滞が出来るような場所で起きたそれは、日常を一瞬にして変えてしまった。周囲の運転手は車から降りて救助に来る人、見て見ぬふりをして会社に向かう人間がいた。
大丈夫か!と声をかけられ、頷くしか反応が出来なかった。そのあと、救急車のサイレンが遠くで聞こえながら、気を失った。
その時『だから言ったのに』なんて言葉が、聞こえたような気がした。
暗闇――
「くそっなんなんだ・・・またこんな変なとこに!」
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