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やり過ぎたかな、と少女は考えていた。クロの記憶を消したのはいいが、あそこまで体調を崩すとは思わなかった。その証拠に、お昼ごはんを届けに来たのは別の使用人だった。その使用人にクロの容態を聞いても、話を濁らして教えてはもらえなかった。
そんなに体調が悪いのだろうか。少女は少し罪悪感を感じ、読みかけの本を閉じて牢の扉を見る。朝に少女が開けた扉はそのままだ。つまり、"開いている"。
少女は外に出たいという早る気持ちを抑えて、目を瞑る。まだダメなのだ。まだその時ではない。
そうして目を瞑り、気持ちを落ち着かせているといつもの声が聞こえる。
「お嬢ちゃん、夕ごはんだよ」
少女はハッとし窓口を見た。
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