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ふと、目が覚める。
寝心地の悪い、簡易のベッドから少女が上半身を起こすと、ギシッとスプリングが鳴る。窓もない、照明一つだけの薄暗い部屋をただぼーっと眺める。
(今、何時だろう)
外の様子がわからない地下の部屋で、唯一時間を把握できる時計に目をやると、日を既にまたいでいることに気づく。
「ご飯、食べ損ねた…」
寝起きの掠れた声で、少女は呟いた。
いつもご飯は、外から鍵のかかった扉の横にある小さな窓口に置いてあり、一時間以内に食べないと持ってかれてしまう。当然、そこには既になにもなかった。
少女は長い睫毛をそっと伏せ、ベッドからゆっくりと抜け出すと、裸足でペタペタと歩き、カレンダーにバツ印をつける。
これが、少女の唯一の日課だった。
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