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俺は無事大学受験にも合格して、親父からの課題だった一ランク上の志望校に無事合格した。
高三の2月の終わり。俺は最後の高校生活を満喫していた。
今日は学校帰りに海と待ち合わせをしている。海は高校を卒業してからは社会人だ。隣町の会社で働くことが決まっていて、職場の近くに引っ越すことになってる。
俺は結局、今いる和泉さんの家から充分通えるところに志望校があったので、引っ越す予定はないけれど、いつまでも和泉さんのマンションにお世話になっているのはなんとなくお邪魔なような気はしている。けれど、出て行く気になれない。
両親はまた海外に行ってしまった。二人は俺が思っているよりもずっと俺の事を、兄貴のことを考えてくれていた。それだけで充分だ。それにあの二人の関係は微妙で今さら家族4人で暮らすことはできないのもわかっている。
問題は兄貴だ。昔から俺の事をすごく大事にしてくれている。いつも俺の事を最優先してくれてる。俺は、まだそれに甘えていたい、もう少しの間。
いつまでも兄貴に迷惑かけちゃいけないのはわかってる。でも、誘拐やら覚醒やらがあってつくづく兄貴のありがたみを感じている。何があっても兄貴は俺のそばにいてくれる。
ずっと一人で生活しててそれが当たり前で平気だった。なのに、兄貴と一緒に生活をするようになってから俺はすごく安らいでる。
もちろん、京がいてくれることも俺を充実させてくれてはいるけれど、兄貴は京とは違った意味で特別で、なんとなく離れ難いのだ。
いい歳をして馬鹿みたいだと自分でも思ってはいるけれど、どうにもならない。
海と待ち合わせた場所に行くと、海は既に来ていた。
俺に気がついて、にこにこしている。
「悪い、待たせたか?」
「いや、さっききたとこだ。どうする?」
「とりあえず、なんか食おう。俺腹減った。」
「わかった。」
二人でファーストフード店に入る。
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