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「うわっ」 一歩路地へと足を踏み入れると突然風が吹いて。 一瞬だけ目を閉じた。 次に目を開くと景色が急に変わった気がして。 鬱蒼と生い茂る竹林に息をのむ。 車やバスの排気音。 人の話す声。 さっきまでそこにあったはずの喧騒が嘘みたいに聞こえない。 聞こえるのはサワサワと風に揺れる木々の音だけだ。 ……何でいきなり舗装もされてないの?? 踏みしめた土の感触に。 少し違和感を覚えて足元にあった石を蹴ってみる。 「こんにちは」 途端にそう声が聞こえて。 慌てて視線を上げた。
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