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「……俺の声が聞こえるな」
突然、淡々としているが冷たさは感じない不思議な声が、青年の耳にゆっくりと入ってきた。
薄桃色のもやのせいか、声の主は見当たらない。
「時間切れだ。理解するのは難しいだろうが……貴方ならもう、解るだろう?」
「解る?」
知らないうちに俺は何かを理解したのか、と青年は思った。
でも、思い付くものは何もないはずだ。
何も……。
「……何を?俺は何を解っている?」
青年は自然と頭に浮かんできた1つの答えに目を背けたくて、不思議な声に問いかけた。
でもきっと、この答えは正解だ。
「貴方は死んでいるんだ」
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