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麻理亜:
それにしてもハーちゃん、“活字俳優”なんて大袈裟な名前だと思わない?
貞美:
別に。桜李が勝手に言ってるだけだから、気にしても何にもならないじゃないのさ。
麻理亜:
それはそうかもしれないけれど……
貞美:
それにしたって、桜李贔屓のあんたが苦言とは、面白い事もあるものね。
麻理亜:
苦言、って程じゃ……
貞美:
ま、どうでもいいわ。あたしにとっちゃ、相手は脚本とキャスト担当の、只のスタッフでしかないんだから。
麻理亜:
……
貞美:
ん、どうしたのよ?
麻理亜:
……確かに、ハーちゃんにとっては本当にそんな感じだったね。
貞美:
逆にあたしからすれば、麻理亜の考えの方が不思議よ。麻理亜はあいつの何だと思ってるの?
麻理亜:
私にとっては、兄の友達っていうのが真っ先にあるから。
貞美:
そのお兄さんの友達に惚れてんのよね?
麻理亜:
んなっ、何を急に!?
貞美:
(図星ね)
麻理亜:
そんなのはどうでもいいから、ハーちゃん!
貞美:
へえ、どうでもいいんだ……
麻理亜:
ま、いや、違う。そういう意味じゃなくて……
貞美:
どう聞いたってそういう意味に聞こえるんだけど。ま、面白い麻理亜が見られたからあたしは満足ね。
麻理亜:
じゃあさ、ハーちゃんはどうなの。
貞美:
お生憎様。あたしは色恋なんて興味ないの。いじられない分あたしの勝ちね。
麻理亜:
(それ、勝ってるの?)
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