たったひとりの、妹へ

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そうして始まった結婚式。 誌乃は本当に幸せそうだった。 そして、ここに居る誰もが、感慨深い表情をしている。 ギリギリに会場に現れた昇悟先生は、誌乃と共にバージンロードを歩き、式の最中、何度も目頭を押さえていて。 俺も…、決して例外ではなく。 誓いのキスをするふたりを目の当たりにしても、俺の心は不思議な程穏やかだった。 ようやく…、すべての事から解放されたんだ。 誌乃への想いからも。 罪悪感からも。 「 誌乃の事…、よろしくお願いします 」 式の後、俺は田島慎一にそう言って頭を下げた。 「 必ず幸せにします 」 差し出された右手に応えた俺に、田島慎一は小さく笑った。
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