3215人が本棚に入れています
本棚に追加
「 おばさんの手伝いしてるのか。えらいな 」
誌乃と手を繋いで歩く帰り道。
街灯で伸びた、大きな影と小さな影も繋がっていて。
誌乃は、それを見ながら小さく頷く。
「……卵焼き、出来るように、なったよ…?」
そうか、と俺もふたつの影を見ながら笑う。
「……ごめんな、誌乃。余り一緒に居てやれなくて 」
俺はいつも、同じ台詞を誌乃に言う。
そして誌乃も、同じ台詞を俺に言う。
「 大丈夫、だよ? お兄ちゃん、忙しいの、わかってるもん…」
ふたりで頑張る、って、約束だもんね?と。
俺を見上げ、儚げに笑う誌乃。
この頃の俺は、そんな誌乃との生活が全てだった。
最初のコメントを投稿しよう!