矢野家

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「 おばさんの手伝いしてるのか。えらいな 」 誌乃と手を繋いで歩く帰り道。 街灯で伸びた、大きな影と小さな影も繋がっていて。 誌乃は、それを見ながら小さく頷く。 「……卵焼き、出来るように、なったよ…?」 そうか、と俺もふたつの影を見ながら笑う。 「……ごめんな、誌乃。余り一緒に居てやれなくて 」 俺はいつも、同じ台詞を誌乃に言う。 そして誌乃も、同じ台詞を俺に言う。 「 大丈夫、だよ? お兄ちゃん、忙しいの、わかってるもん…」 ふたりで頑張る、って、約束だもんね?と。 俺を見上げ、儚げに笑う誌乃。 この頃の俺は、そんな誌乃との生活が全てだった。
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