たったひとりの、妹へ

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「 今日は随分いい子にしてたわね、実花 」 ぐずるかと思っていた実花は、式の最中、不思議なくらい大人しかった。 「 そうだな 」 重いだろ、と俺は眠ってしまった実花を舞からそっと抱き上げる。 スヤスヤと、その愛らしい寝顔に自然と口元が緩んだ。 「……舞…」 「 ん?」 「 俺達も…、式挙げようか 」 ポカンとした顔を俺に向ける舞。 「……今、何て?」 「 結婚式をしよう、俺達も。 ようやく落ち着いてきたし、何より…、ケジメをつけたいんだ。 お前に不安な想いばかりさせたけど、もう大丈夫だ。 すべて吹っ切れた 」 「……雅、人…」 舞の目に涙が滲む。
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