招待状

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背中をトントンしていると、ぐずっていた娘は、やがてウトウトしはじめた。 そんな娘の様子に、俺は少しだけ表情を緩め、抱き締め直す。 こんな風に。 遠い昔、良く誌乃をあやしたっけな。 突然出来た妹。 兄弟もなく、両親が共働きだった俺にとっては、そんな妹が可愛くて堪らなかった。 とにかく、ちっちゃくて。 泣き声も弱々しくて。 でも、俺を見て笑うんだ。 だから、俺が守ってやらなきゃ、って思ってた。 なのに、その想いがカタチを変えていくなんて。 誌乃に、あんなにも辛い思いをさせていたなんて。 ……思いもしなかった。
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