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両親が事故で亡くなったのは、俺が二十歳、誌乃が10歳の時だった。
お母さん、お父さん、と泣きじゃくり、俺の傍を離れようとしない誌乃と手を繋ぎながら。
俺はただ、喪主としての務めを果たすだけで精一杯だった。
両親共に親戚など殆ど居ない中、俺も会った事もないような遠縁だというオバサンが、険しい表情で手招きをする。
ややこしい話かも、と直感した俺は、近所に住む親友、矢野 陸に誌乃を見ててくれ、と頼んだ。
「 誌乃、ちょっとオバサンと話して来るから、陸兄ちゃんと待っててな 」
誌乃は不安気だったが、陸に手を繋がれたまま、小さく頷いた。
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