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ママは、わざと知らん顔を決め込んでいるらしい翔さんの背中をチラリと振り返り、肩をすくめて笑う。
「何もね、翔くんが昔からうちに出入りしてるから、こんなに甘いんじゃないのよ」
「……?」
「翔くんが、あんたのこと本気だって言うから。まだあんたとお付き合いしてるわけでもないのに、そこまで私に言うんだから」
「……そうなの?」
「そうよー。翔くんはどれだけ時間かけても絶対あんた連れていくんだろうって思ったからね。じゃあ、任せるかってね」
「……」
急に恥ずかしくなってきて、その場に縮こまる。
ママは出来上がった大きな目玉焼きを三等分にしてお皿に乗せていく。
「それに、翔くんは将来有望だもの。あのおうちなら食いっぱぐれないだろうし」
「ママ!」
「冗談よ」
ケラケラと笑いながら、ママは手際よく食パンをトースターに放り込む。
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