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その間に作り置きのサラダをあっという間に目玉焼きのお皿に盛って、私に差し出した。
「親はね、そういうしょーもないことが気になるの。あの子、そういうのよく判ってる。育った家の中で苦労してきた証拠よ。だからあの歳であんなに優しいんだと思うわ」
ママはお皿を翔さんのところに持っていくよう促してくる。
言葉も出てこなくて、何となく口を尖らせながらお皿をふたつ持って翔さんのいるソファーまで歩いていく。
私がお皿を持ってきたことに、翔さんはえっという顔をした。
「呼んでくれたら、テーブルの方に行くのに」
「ううん。こっちでいいんだって」
「悪いね。明里さん、いただきます」
後半はキッチンのママに向かって言う翔さん。
ママは「すぐにパン持っていくからー」と呑気に言った。
フォークで白身部分をちぎり、口に運ぶ翔さんを見ながら私は首を傾げる。
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