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「翔さん……」
「うん?」
「ビックリした」
「ハハ」
翔さんは肩を揺らして笑うと、イタズラっぽい顔で私を見る。
「ヒかなかった?」
「どうして?」
「だって、まだお前のこと口説き落とせてもなかったのに、そういうの」
「……勝算あったんでしょ」
「そういう言い方するなって」
翔さんは苦笑して、頬杖をつく。
「誰にも、文句言われたくなかったから。状況なんていつどう変わるか判らないし」
「……それは……うん」
思わず昨夜のことを思い出して、顔が熱くなる。
「ねえ、翔さん。訊いてもいい?」
「なに?」
「いつから、私のことそんなふうに想ってくれてたの……?」
すると、それまで朗らかに微笑んでいた翔さんの表情と動きがピタリと止まる。
「え?」と瞬きをして顔を見ていると、翔さんは急に立ち上がった。
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