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ドラマなんかによく出てくる「一度関係したくらいで……」という最低なセリフを思い出す。
でも、私のこれは紛れもない恋で、一時の遊びや戯れなんかじゃない。
そんなドライに割り切れるくらいなら、私はもっと狡猾に生きられるはずだ。
「……? 俺、何かした?」
まったく心当たりがないのか、翔さんはキョトンとして私を見つめ返してくる。
どうやら、さっき逃げた問いの続きだと思ったらしい。
それだって聞きたいし、大切なことだけど。
これは、今ハッキリさせておかなきゃいけない。
「翔さん、この間女の人といたよね? あれ、誰なの?」
「女の人……? いつの話、それ」
「期末テストの前、夕方……」
翔さんはギシ……と椅子にもたれると、「いつだ?」と首を傾げる。
真面目な顔をしているけど、とぼけてるんだろうか。それとも、本当に意識の中にないの……?
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