また、日常の幕開け

17/34

5474人が本棚に入れています
本棚に追加
/465ページ
  「私が学校行く時間だよ……」  だんだん気持ちが萎んできて、なんか声が小さくなってしまう。  こういうこと問い質すのって、すごく恥ずかしい。  自分の小ささを、可視化されてしまうみたいで。  すると翔さんはようやく思い当たったのか、「あー……」と眉根を寄せた。 「真琴、それもしかして駅前の広場だったんじゃないか?」 「……う、ん」 「おかっぱの、清楚な感じの」 「そうだよ……」  言いながら、翔さんの顔がどんどん緩んでいく。  翔さんはとうとうぷっと吹き出して、口を押さえた。 「どうして笑うの……?」 「あ、いや。ごめん。真琴は悪くない。俺が悪い……」  翔さんは顔の前でもう片方の手をブンブンと振りながら、でもおかしくてたまらないらしく、とうとう机に顔を埋めて本格的に大笑いをしている。 「何なの……」 .
/465ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5474人が本棚に入れています
本棚に追加