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張りつめた緊張と怒りの行き場がなくて、私の目に涙が浮かぶ。
それを見た翔さんは、さすがに慌てた。
「わわわ、待て待て。泣くな」
翔さんは慌てて立ち上がり、私の頭をギュッと抱きしめる。
「触んないでー」
迫力なく、そう言って抵抗してやる。
「そんなこと言うなよ」
さっきの大笑いが打って変わって、翔さんがオロオロしているのが判る。
本当のところは、もう、どっちでもよかったりするんだけど。
翔さんがあの女の人と何かあっても、私とこうなる前の話だし。
それまでだってキスはいっぱいしてたけど……うん、本当のところ、本当にどっちでもいい。
翔さんの反応で、充分。
でもここで折れて翔さんを抱きしめ返すのは、なんか簡単すぎて恥ずかしい。
知らなかった。オンナノコのプライドって、本当にやっかいだ。
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