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「真琴……」
めちゃくちゃ甘えた声で、翔さんが私の意識のありかを探ってくる。
ふしぎ。
ひとつ。たったひとつ、人生で新しい経験をしただけなのに。
身体の中が全部剥き出しになって開いたみたいに、色んなことが判る。
「なあに……」
ちゃんと聞いてる、という意味で返事をする。
すると翔さんはホッとしたように息をついた。そのまま私の顔を覗き込むと、グシャグシャになるほど私が泣いてないことを確認する。
「……?」
「ちょっと早いけど、おいで」
「え? 何……」
「いいから」
怒っているという様子はなく、でも翔さんは強引に私の手を引っ張った。
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