また、日常の幕開け

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  翔さんに連れて来られたのは、“わしづか”の厨房の前だった。中からひんやりとした空気が押し出されてくる。  手を繋いだまま、翔さんは中を覗き込んだ。 「おはようございます。ちょっと、いいですか」 「ああ、翔。おはよう。どしたの、早くない」  中には早出で仕込みをしている職人さんが何人かいた。  ちゃんとした見学はしたことないけど、子どもの頃からここの厨房の様子は何度か覗き見をしたことがある。 「はあ。ちょっと、俺の彼女に説明することがあって。連れてきたんですけど」 「例の子か!」  中からなんだなんだと騒ぐ声が聞こえて、普段着なので入れない翔さんと私のところまで職人さん達がやってくる。 「マコトちゃんじゃないか! 大きくなって!」  昔からいる職人のおじさんが、私の顔を見て顔を綻ばせる。 .
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