また、日常の幕開け

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   私の子どもっぽい疑問に、大輔がキョトンとした。 「え?」 「いや、ここらで茶道の家元っつったら、あそこだろ。海沿いの」 「そうだけど」 「あの家元も、コレだぞ」  大輔は眉根を寄せて手の甲を頬に当てる、というお決まりのオネエのジェスチャーをした。 「ウソ……」 「嘘なもんか。オレ、昔からあのオッサン……いや、オバサン……? ま、いいか。あのオッサンに何度もナンパされてるし……」 「ええっ!?」 「養子に来ない~? とかよく言われた」 「うわあ……」 「ま、ゲージュツカにはそういうの、珍しくないんじゃない」  クッと笑い、大輔はハンバーガーをぺろりと平らげてしまった。 「わ、私まだ知らないことが多すぎる……」 「大げさだな」  大輔はファーストフードのごみをグシャッとひとつの袋の中にまとめて片付けてしまいながら、ふと私の顔を見る。 .
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