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「まあ、でも」
「うん?」
この街のオネエ事情を知って、驚きすぎてちょっと眩暈を起こしてしまいそうだった私は、ノロノロと大輔を見上げる。
「よかったんじゃないの。オメデトウ」
「え?」
「初めての恋愛成就」
サラリとそんなことを言って、大輔はニヤッと笑う。
急に恥ずかしくなって、両手で自分の頬を押さえてブンブンとかぶりを振った。
「昨夜も、気ィ遣ったんだぞ。俺、翔さんにポコポコ殴られたあとだったし」
「え? なあに、それ」
「だって、翔さんがお前と祭りに行くの知ってて、昨夜の集会の加勢頼んだから」
「あ」
そうだ。夏祭りには、何もなければ大輔も行くはずだったんだから。
大輔は思い切りしかめっ面をして、今丸めたばかりのごみを脇に挟んだ。
「こんなふうにな。“あーあ、真琴に何食わせようかって楽しみにしてたのに。あーあ。あーあ”って」
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