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そんな自分の内側を確かめながら、大輔の横顔をじっと見る。
「……大輔、訊いてもいい?」
「なに?」
「大輔は、もう他の女の子と付き合ったりしないの?」
ごみを更に小さくしようとしていた大輔の手が、ふと止まる。
彼の目は、窓の外でピタリと止まっていた。
「……そういや、円香と別れた日も、こんな空だった」
「え?」
「すんげー、晴れてた。空、真っ青で……円香とはさ、社会科準備室でいつも会ってて……別に隠すこともないのに、人には言いたくなかったんだ」
「……うん」
こんなふうに、円香のことをスルスルと話し出すのは珍しい。
この間も、円香の話はしたけど……そういえば、彼女とのことってあまり聞いたことがなかった。
「なんつーの……あの部屋に、閉じ込めておきたかった。円香の笑った顔とか声とか、仕草とか……そういうの、全部」
「うん」
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