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空虚に落ちていきそうだったその笑いを慌ててすくい取るように、大輔は「あーあ」と溜め息交じりの伸びをする。
「バイト、戻んねーと。ああ、暑い。だるい」
「自分のバイク、買うんでしょ。頑張りなよ」
「ああ、ハイハイ……俺の恋人はもうバイクですー。それでいいんですー」
心の中に、何の痛みも悔いもありません。
そんな顔で笑える大輔は、強いと思う。
だからこそ、思うよ。
大輔のその恋が、ちゃんと報われますようにって。
大輔にとっての円香がそうであるように、円香にとっての大輔も、そうでありますように……って。
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