Epilogue・きみの瞳にぼくを映して

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   翔さんに隠し事なんてする気になれなくて、正直に話すと彼は苦笑した。  そして、まだ営業中の“わしづか”の正面に回ると、翔さんがこっそり中を覗ける場所からどの人か教えてくれた。  翔さんとかつて付き合っていたことがあるというその女性は、やっぱり綺麗な女の人だった。  メイクをちゃんとしていて──でも、決して派手なわけではなくて。和菓子屋さんの接客、ということをきちんと理解しているメイクだと思った。  清楚で、清潔感のある身だしなみ。暗めの栗色の髪をちゃんと後ろでおだんごにまとめて、後れ毛なんてほとんどなくて。  何より、笑顔が自然でとっても綺麗……。  思わずへこんでしまいそうになったのは、事実だった。 「なに、しょげてんの」 “わしづか”からはもうだいぶ離れてしまってから、無言のまま歩く私の頭を翔さんがコツンとしてくる。 .
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