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「ううん……綺麗な人だったなーって思って……」
「まあ、顔だけじゃないけど」
「判る……」
一歩間違えば喧嘩になりそうな会話だ。
でも、翔さんは私の考えてること判ってるみたいだし、私もたぶん翔さんの考えてること、判ってると思う。
翔さんは苦笑して、私の手をギュッと握ってくれる。
その手の熱さに安心して、私は言葉を選びながら思ったことを話し始めた。
「大輔の話なんだけど……」
「うん? 大輔?」
今、それ? という顔をしながらも、翔さんは私の言葉を待ってくれる。
「そう。大輔、好きな娘と別れたままでしょう。今日聞いたんだけど、大輔、自分は彼女のために色んな経験してきたって思ってたんだって」
「……ほう……それはまた、切実な……」
「それで、今思ったんだけど……」
言いかけて、私は思わず言葉を止めた。
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