5474人が本棚に入れています
本棚に追加
/465ページ
これ、自分で言っちゃっていいのかな、とか思って。
「何、言いかけてやめるなよ」
「いや……自惚れ、って言わない……?」
私の問いに、翔さんは一瞬眉根を寄せる。
でも、すぐに意味が判ったみたいで、ニヤッと笑った。
「言わないよ」
判ったくせに、私に言わせようとする。悔しくなったけど、私が始めた話だ。
「だからっ。翔さんも高校生のとき、さっきのひとと色々あったから……だから私に優しくしてくれるんだろうなって、そう思ったの! そうしたら、やきもち飛んで行ったの!」
「ハハ、よく言えた」
翔さんは嬉しそうに顔を綻ばせると、握った手でそのまま私を引き寄せて、もう片方の手で頭を撫でてくる。
「言ったそばからなんだけど、今の言葉撤回したい……」
「なんで。真琴のその考え方、すごく好きだけど、俺」
.
最初のコメントを投稿しよう!