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引き寄せられて、翔さんの肩にもたれるみたいになったままの私。
翔さんはキョロキョロとあたりを見回し、誰の目もないことを確認するとスッと顔を傾けて、ごくさりげなく私にキスをした。
「!!」
口唇は離れたけど、顔は近いまま。
翔さんは私の手を握る手にもう少し力を込めると、フッと笑う。
「こういうのは、真琴にしかできないな。今までこんな意地悪したことないよ、俺」
私が我知らず聞きたかった言葉を、こともなげに口にした。
「な、なんで……?」
自分の顔が、たぶん真っ赤になってしまっているのが判る。今頃になって、手のひらが汗でベタベタになってないか気になってきた。
「どうしてって。そりゃあ、好きだからだよ」
「……」
プシュ、と頭のてっぺんまで沸騰してしまいそうになる。
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