Epilogue・きみの瞳にぼくを映して

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   プシュウ……とまた空気みたいなものが抜けて、私の身体はどんどん軽くなってしまいそうな気がしてしまった。 「翔さん……なんか私、このまま天に昇っちゃいそう」 「……。判ったら、もういいか? 元カノとか、そういうのは」 「わ、判った。もう気にしない」 「よし、じゃあ、帰ろう」  言いながら、私の家に向かっていたはずの翔さんの足が、いきなり角を曲がる。 「あれ、翔さん……?」 「どうせ、明里さんや真穂が帰ってくるの、遅いんだろ」  うちのことを知り尽くしている翔さんは、ずんずん足を進める。  あれ、これって、翔さんのアパートの方じゃ……。 「しょ、翔さん?」 「正直に話してたら、なんか高まった。責任取りなさい」 「えっ、えええ!?」  逆らう気なんてこれっぽっちもないんだけど。  今からどうするかを宣言されたみたいな状態で、クールになんて振る舞えないよ。  ……だって、離れたくないのは私も同じだから。 .
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