Epilogue・きみの瞳にぼくを映して

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   ただ、そういう話は人前でするものじゃないと思うし、それに。 「……ちゃんとしたいだけなのに」  その場に正座してシュンとする私を見下ろし、翔さんは眉尻を下げる。  翔さんは煙草を咥えようとしてたみたいだけど、ギリ……とフィルターを噛んだ。  カラカラ……と窓を開けながら、翔さんは溜め息をつく。 「判った、判った。その話は、俺がつける。だからそんな顔しないで」 「え? ど、どういうこと?」 「あのな、俺と航は兄弟なんだぞ。お前が直接話つけるとか、ないわ」 「……そう、かな……?」 「想像してみろ。昔、お前が大輔に告白してたとしてだ。大輔は真穂とデキてて。大輔にフラれて、真穂と普通にできるのか」 「……で、でき、ない……」 「真穂に“ゴメン”って言われた方がマシじゃないか?」 「……」  それも、普通に頭に来る気がする。私がそう言うと、「男と女の違いか」と苦笑した。 .
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