5474人が本棚に入れています
本棚に追加
/465ページ
ただ、そういう話は人前でするものじゃないと思うし、それに。
「……ちゃんとしたいだけなのに」
その場に正座してシュンとする私を見下ろし、翔さんは眉尻を下げる。
翔さんは煙草を咥えようとしてたみたいだけど、ギリ……とフィルターを噛んだ。
カラカラ……と窓を開けながら、翔さんは溜め息をつく。
「判った、判った。その話は、俺がつける。だからそんな顔しないで」
「え? ど、どういうこと?」
「あのな、俺と航は兄弟なんだぞ。お前が直接話つけるとか、ないわ」
「……そう、かな……?」
「想像してみろ。昔、お前が大輔に告白してたとしてだ。大輔は真穂とデキてて。大輔にフラれて、真穂と普通にできるのか」
「……で、でき、ない……」
「真穂に“ゴメン”って言われた方がマシじゃないか?」
「……」
それも、普通に頭に来る気がする。私がそう言うと、「男と女の違いか」と苦笑した。
.
最初のコメントを投稿しよう!