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翔さんは私の頭をポンポンしながら、そっと胸元に抱き寄せてくれる。
さっきまでより、ひんやりしている。さっきはあんなに熱かったのに、変なの。
「男同士で話するから。だから、それはもう気にしなくていい」
「いいのかな。航くんに対して、不義理みたいにならないかな」
「不義理って……お前、古い女だね」
溶けるようにフッと笑って──翔さんは、少し冷たくなった口唇を私のそれに軽く重ねた。
「俺が今まで、お前に悪いようにしたことある?」
「ない……けど」
「なら、信じて。今まで通り幼なじみやれるよう、ちゃんと、話してきてやるから」
「……うん」
ユルユルと。
少しずつ絡みついてくるみたいな翔さんの想いが、ちょっと幸せ。
こんなふうにされるなら、翔さんの中に閉じ込められてしまって構わない。
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