Epilogue・きみの瞳にぼくを映して

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   体重をかけてしがみついても、びくともしない翔さんの腕。  その中で甘やかされながら、溜め息が漏れた。  ふと、お姉ちゃんのことを思い出す。  これまでは、男の人にそういうことばかり求めるお姉ちゃんを、「ふしだらな人だな」なんて思って見てたこともあるんだけど。  なんか、今なら判る気がする。お姉ちゃんはきっと、この安心感が欲しいんだ。  心と身体が同時にちゃんと頷いて、ほどけていくような──そんな人に、会いたいだけなのかも知れない。  雄介が、そうだったらいいんだけどな。  雄介だったら、お姉ちゃん取られてもいい気がする……。  微妙な感情が私の中でグルグル混ざる。それが眠気をからめとっていくようで、だんだん瞼が重くなる。 「真琴? 眠いの?」  翔さんの優しい声に、コクンと頷いたところまでは覚えてる。  そのまま私は、幸せで満たされた眠りの中に落ちていった。 .
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