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気がつけばそこは、学校でも
鏡の中でも無くて、俺は
自分の家のベッドに居た。
「…昨日のは…夢?」
朔夜は起きあがると同時にボソッと呟き頭をガシガシと掻いた。
「っ…」
ふいに首元に痛みが走る。
そう、あれは夢じゃない。現実だ。
首元には吸血鬼に噛まれた跡があった。
夢じゃない証拠はもう一つ。
「ういしょ」
立ち上がると足元がフラついてその場に倒れる。
これは、貧血気味の証拠だ。
「…今日、学校休みでよかった…」
立ち上がりベッドに横になり呟いた時、ふいに携帯がなった。
「…はい?」
携帯を開くとそれは巽からの電話。
電話にでると、電話越しに聞こえる声は
「ぅー…体がぁ」
という声。それしか言わない。
「俺も今少し足元がふらついてる」
自分もだ、というように相手に言うと、
相手の声が急に悲鳴に変わった。
「どうした!巽!」
慌てて電話越しから声をかけるが、その瞬間、俺にまでなにかが起こりはじめた。
部屋中のカーテンは閉まり、太陽の光で明るくなっていた部屋が瞬時に暗くなる。
「んぐッ...んぁ......」
口元を抑えられ携帯の通話中画面は暗くなり、口の中に人差し指を入れられる。
そして、首筋には冷たいなにかが触れて
人差し指を噛まないように必死になりながら、なにも見えない、何をされるかわからない恐怖に体が動かず、ただ喘いでいるような声しか出ない。
「(誰だ...)」
どうにかして顔だけでも...、
そう思った瞬間に首筋にチクッと痛みが走った。
この感覚は...
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