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「…目が覚めたか」 近づいてきた足音が朔夜達の目の前で止まる。 「…何者だ」 朔夜は、ゆっくりと体を起こし、相手を見上げた。 身長は…恐らく178か何かだろう。 口を開いた相手の口元には、キラリと光る牙があり、一目で相手の正体が分かった。 こんなおとぎ話のような事、認めたくはない朔夜は<チッ>と舌打ちをし、小さく述べた。 「吸血鬼(ヴァンパイア)か」 その言葉に巽は、 「…へっ、どうせ作り物だろ…」 震えるような声で言う。 すると巽のそばに小さな 二~三才くらいの子供三人が歩み寄りはじめた。どこから現れたのか分からないその小さな子供達は、いきなり 「《ガブッ》」 巽によじ登り、首筋に噛みついた。 「…ぅ…っあ…」 手を動かし、小さな子供達を引き離そうとするが手に力が入らないのか子供達から手を離し、暫くしてからその場に倒れ込んだ。 「巽!」 朔夜は巽を揺さぶって起こそうとする。 が、ぐったりとしたままで 起きる気配がなく、巽を横に寝かせたまま離れると、朔夜はゆっくりと立ち上がり吸血鬼を鋭い目つきで睨んだ。 「そんな目で見るな、人間。そいつはまだ生きてる…。いや、《生かしといて》ある。」 「てめぇ、何様のつもり…っ」 朔夜は言い返そうとするが途中で吸血鬼に口を手で塞がれた。 「何様のつもり…だと?…ふんっ。 《俺様》のつもりに決まっているだろう」 口元を緩めた時に見えた相手の牙は妖しく光り、朔夜は相手の目を見ると同時に意識を失い、倒れ込んだ。
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