吸血鬼のおもてなし

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‥‥ 「巽…か。」 巽は今、ベッドに座っていた。 磔状態から解放されたらしい。 「……はい」 巽は短く相づちを打つと、目の前にいる吸血鬼を見た。 「俺は、羅希亜の弟の《勠亜(リクア)》という。お前はこれから俺の物に…」 勠亜が巽に対して話してるときに、 扉がガチャッと開いた。 そこに立っていたのは、 「…貴様、羅希亜の妖術にかかっていたんじゃ‥!」 先ほど羅希亜の下僕となった(筈の) 《朔夜》。 朔夜は鼻で「ふんっ」と笑うと 床に転がっていた硝子の破片を持ち、勠亜に投げつけた。 「…っと、あぶねぇ。」 ギリギリで交わされたが、目元をかすったのか少し血が出ている。 「ちっ…」 狙いが外れたのがさらに朔夜を怒らせ 「てめぇ、巽をどうするつもりだ」 苛ついた口調で勠亜に言った。 「さぁな」 短く答えると勠亜は巽を見た。 そして指で小さく円を描くように動かすと、巽は立ち上がり勠亜を守るかのように前に出てくる。 「…おい、なにする気だ?」 朔夜は勠亜を睨むと巽を引き寄せようと手を出した。 すると 《パシッ》 朔夜の手を振り払うかのように巽は弾き返す。 「…くくっ…巽。そいつを殺すギリギリまでやれ」 巽の肩を優しく叩くと巽の耳元で囁いた。 巽は返事をするようにコクッと頷くと棚の上から拳銃と剣を持ち出した。 「てめぇっ…!汚ェぞ!」 怒鳴り散らすと朔夜は、巽の隣をすり抜け勠亜に殴りかかる。 その時 「っ…!」 朔夜の体が扉に引き寄せられるように勢いよく飛ばされる。 このまま扉に背をぶつけるか、 飛ばされて扉にぶつかりそうになった瞬間、扉が運良く開いた。 だが、そこに立っていたのは…。
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