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――窓の外から、スズメだろうか?小鳥の囀(さえず)りが、朝の訪れを知らせてくれる。
それがハッキリと分かるとほぼ同時に、俺――保積 陽向(ほづみ ひなた)は、すうっと目を開いた。
目を擦ろうと、ぐっとまだ力の入りきらない右腕に力を――というか、何か乗っていて動かない。
一瞬考え、すぐに結論に至った俺は、右手の手首をぐっと曲げ、さらっとした髪を撫でた。
「んぅ……」
くすぐったいような声が耳元で聞こえ、ハッと俺の脳は覚醒した。
チラッと右側を見ると、そこにいるのは、俺の右腕を枕にして、すやすやと気持ち良さそうな寝息を立てる女の子――音成 奏(おとなし かなで)だ。
いつの間に潜り込んだんだよ……あ、居る事は別に構わないんだ。
……俺達、同棲してるから。
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